FRP艇キングストン弁取り付け方法

新規取り付け、口径の変更、交換。

その何れにも対応できるFRPならではの手順の紹介。

例によって老舗企業、高澤製作所HPから

小型船舶部品と言えど、

ホルソーで穴あけコーキング締め付けで済むほど単純ではありません。

photo02

このタイプは取り付ける向きが決まっているので要注意。

 

正確な寸法がわかる製品外形図PDFから

キャプチャ

ボールバルブの取り付けやレバーの操作性、船底強度。

ホースの取り回し、大抵はパイプレンチが必要になるので

ロンジと干渉しない位置か等、よく検討後Gより2mmくらい大きめの穴をあけます。

レバーハンドルは最悪180度反対方向へ変えられたはずです。

 

実際の穴あけにはジグソーが使いやすいと思います。

キングストン穴あけサイズ

フランジ引っかかれば大きくなっても大丈夫ですが、

1-2mm大き目にするくらいで 面取りしておけば更に確実。

黄線は極端な例ですが、

面取りしてもテーパー部分に少しでもかかってるとフランジが密着しないので、

いくらナットを締め付けても進水後徐々にゆるんでくるでしょう。

 

あまり無いことですが、キングストンを小さいものに変えるときは

船底外側から穴を塞ぐようにベニヤ板をあててFRPで修復。

キングストンのサイズにあわせて穴を開けなおします。

電蝕や老朽化で古いのを外し交換するとき 下図を参照。

キングストンはずし

バルブを外し、締め付けナットは一番上まで緩め

できるだけ重いハンマーで叩きます。

下が砂浜や土ならナット無しでも大丈夫かもしれませんが

叩いて船体から離れた瞬間、凄い勢いで落下するので

コンクリや鉄板だと大音響、 人にでも当たれば大怪我の元。

 

穴あけ、貼りシロのサンディングが終わってもキングストンの前準備があります。

キングストンナット締めシロ

ワッシャーを入れ、ナットの締めシロとして

ねじの部分を根元から10mm以上残した所で上図の向きに置き。

ワッシャーとナットを5分で固まるエポキシで接着。

指でぴったり密着させ 5分以上放置。ナットとワッシャーが外れないよう丁寧に扱います。

グルーガンがいけない理由はグルーに厚みが有りすぎ ナットと平行になりにくいからで、

傾いたまま締めても面白くないのと、パテで修正できても、ずうっと心残りでしょう。

キングストンfrp積層

上図のように角材に矢を打ち、

けつまづいても少々では外れない工夫をしておきます。

硬化前、積層中に外れると悲惨です。

ガラスマットを2cm幅の短冊に切り

長さは現場合わせで手で千切り、

ダンボールの上で1枚づつ樹脂を塗り積層。

我ながら感心するくらい綺麗な仕上がりになります。

穴とキングストンの隙間に最小限のタルクを入れると水密と脱泡は確実。

5cmの穴で7plyくらい。12cmだと10ply貼るつもりで。

一周ぐるり貼って脱泡してはいけません。失敗の元。

せめて半周づつ貼り脱泡の繰り返し、硬化は1昼夜以上待って

ワッシャーの周りを綺麗にサンディングして整形。

角材を外しても落ちない構造なのがわかると思います。

キングストン固定後

ジグソーの切り口は直角なのでタルクとFRPを正確に書くと赤丸の状態。

確認できるのは下図のように交換時などキングストンを外したときだけ。

キングストン取り付け穴

通常は外さないので真鍮のテーパー部分をサンディングして積層すれば

接着度が高くなり波で叩いたり振動によって接着が切れるのを抑止できます。

その後できればワッシャーを外してコーキングを打ちナット締め付け。

シールテープを巻いてバルブの向きは必ず締める方向で止めるよう調整。

ちょっとでも行き過ぎたからと 戻すのはご法度。

 

ボルボのスタンドライブは船外機と同じでキングストンは不要

船底にあける穴はひとつだけと うたい文句の通り。

ですが、うちのヤンマードライブ船はキングストンを設置。

3GMのような小口径だと、この記事のようなFRP積層は困難。

で、どうしたかと言うと

3gm_kingston

角材で突っ張り、硬めのタルクを入れてナットは指でやんわり締めて

パテ硬化後、本締め。サンディングと塗装。

パテだけで衝撃を受けると脆く壊れやすいので

ステンのパイプを低めにカットして入れた方が安心できるだろうな

と、20数年たった今、ふと思いました。

 

知恵袋に自沈させるには?

いくつか読んでみると 作家の誤解釈という認識でほぼ間違いないでしょう。

それが通説として伝わる典型で、最近の映画でもよくある事です。

エンジンがかからないのに上空からのシーンでは排気管から正常な量の循環水が出てたり。

その速度でその声量で会話は無理だろ とかは置いといて。

 

終戦後、解体途中の軍艦があり 夜中に作業者が忍び込んで計画実行。

当時、真鍮は色物といって廃材のなかでも高値で転売可能な金属。

軍艦に使われてるキングストン1個が何kgあったのか知りませんが

その作業者、キングストンの役割は知らないけれど

仕事柄外し方は知ってて 海水がドバッとは入らなかったらしく

外したらさっさと帰宅。

排水量が何万トンあっても キングストンの口径で一晩たてば。。。

後日、誰がやったか すぐにバレた理由は?

そんなキングストンは軍艦にしか使われてない時代。

 

それから人は彼をこう呼んだ。

大砲も使わず、

たったひとりで軍艦を沈めた男。